統合失調症とは

障害や疾患による困りごとは、外から見ただけではわかりにくいことがあります。
また、同じ診断名であっても、症状の現れ方や生活への影響は一人ひとり異なります。

この記事では、主な特性や日常生活で困りやすいこと、周囲の人ができる関わり方について紹介します。
本人はもちろん、ご家族や支援者の方が理解を深め、安心して関わるための参考になれば幸いです。

統合失調症とはどんな病気?

統合失調症は、考えや気持ち、行動のまとまりを保つことが難しくなることがある精神疾患です。

たとえば、周囲には聞こえていない声が聞こえる「幻聴」や、まわりの人とは違う受け止め方を強く感じる「妄想」などの症状が現れることがあります。こうした体験は、本人にとってはとても現実味があり、不安や混乱につながることもあります。

統合失調症は、日本ではおよそ100人に1人が生涯のうちに経験するといわれており、決して特別な病気ではありません。発症には、体質や脳の働き、環境によるストレスなど、さまざまな要因が関係していると考えられています。

大切なのは、統合失調症は本人の性格や努力不足が原因で起こるものではない、ということです。「気の持ちよう」や「怠け」と誤解されることもありますが、医療的な治療や生活面での支援が必要な病気です。

症状の出方や生活への影響は人によって異なります。治療や支援を受けながら、学校や仕事、地域での暮らしを続けている方もいます。無理をしすぎず、自分に合ったペースや環境を見つけていくことが大切です。

統合失調症の主な症状

統合失調症の症状は、大きく「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分けて説明されることがあります。

陽性症状

幻聴や妄想など、現実にはない感覚や考えが強く現れる症状です。たとえば、「誰かに見られている気がする」「悪口を言われているように感じる」「自分に関係のあるメッセージだと感じる」といった体験が起こることがあります。本人にとっては切実な体験であり、不安や怖さを伴うこともあります。

陰性症状

感情の表現が少なくなったり、意欲がわきにくくなったり、人との会話や外出がおっくうになったりする症状です。周囲からは「やる気がない」「元気がない」と見えることもありますが、本人の怠けではなく、病気の影響によってエネルギーが出にくくなっている状態です。

認知機能障害

集中力や記憶力、段取りを考える力などに影響が出ることがあります。説明を一度で理解することが難しい、作業の手順を忘れやすい、複数のことを同時に進めると混乱しやすい、といった困りごとにつながる場合があります。


症状の現れ方や強さには個人差があります。症状が強く出る時期もあれば、比較的落ち着いて過ごせる時期もあります。発症は10代後半から30代に多いとされていますが、年齢にかかわらず起こる可能性があります。

また、症状が落ち着いているように見える時期でも、疲れやすさ、不安の強さ、集中しづらさなどが残ることがあります。外からはわかりにくい困りごともあるため、本人の言葉や様子を丁寧に受け止めることが大切です。

日常生活で困りやすいこと

統合失調症のある方は、日常生活の中でさまざまな困りごとを感じることがあります。ただし、その内容や程度は一人ひとり異なります。

たとえば、時間の管理や作業の切り替えが難しく感じられることがあります。予定が急に変わると混乱しやすかったり、次に何をすればよいか考えるのに時間がかかったりする場合もあります。

音や人の多さ、周囲の話し声などに敏感になり、騒がしい場所で強い疲れを感じる方もいます。本人にとっては、ただ「にぎやか」なだけではなく、集中しにくさや不安につながる環境になることがあります。

対人関係では、相手の言葉の意味を深く考えすぎてしまったり、何気ない言葉に不安を感じたりすることがあります。その結果、人と関わることに緊張しやすくなったり、誤解を避けるために距離を取ったりする場合もあります。

また、睡眠リズムの乱れや疲労の蓄積は、心身の不調につながりやすいとされています。夜眠れない、朝起きることが難しい、日中に強い眠気があるなど、生活リズムの不安定さが通学・通所・仕事に影響することもあります。

家事や通勤、仕事の場面では、複数のことを同時に進めるマルチタスクが負担になることがあります。ひとつずつ順番に取り組める環境や、手順が見える形で整理されていることが安心につながります。

大切なのは、「できないこと」だけに目を向けるのではなく、どのような環境や伝え方であれば力を発揮しやすいかを一緒に考えることです。困りごとは本人の努力不足ではなく、環境との相性によって大きく変わることがあります。

周りの人ができること

統合失調症のある方を支えるうえで大切なのは、本人の感じているつらさや不安を、まずは否定せずに受け止めることです。

たとえば、本人が不安や怖さを感じているときに、「そんなことはない」「考えすぎだよ」とすぐに否定すると、孤立感や不信感につながることがあります。まずは「不安だったんですね」「怖かったですね」と、気持ちに寄り添う声かけを意識するとよいでしょう。

一方で、幻聴や妄想の内容そのものに強く同調する必要はありません。大切なのは、その内容が正しいかどうかを議論することではなく、本人が不安やつらさを感じていることを理解しようとする姿勢です。

予定を伝えるときは、できるだけ早めに、わかりやすく共有することが助けになります。口頭だけでなく、メモや予定表、チェックリストなど、目で見て確認できる形にすると安心しやすい場合があります。

また、できたことを具体的に伝えることも大切です。「今日は時間通りに来られましたね」「最後まで作業できましたね」など、小さな変化や積み重ねを言葉にすることで、本人の安心感や自信につながります。

ご家族や支援者、職場の人が統合失調症について基本的な知識を持つことも、誤解を減らすうえで役立ちます。静かに休める場所を用意する、指示を一度に詰め込みすぎない、作業量を調整するなど、環境を整えることも支援のひとつです。

支える側も、一人で抱え込まないことが大切です。医療機関、相談支援事業所、障害福祉サービス、地域の相談窓口などとつながりながら、本人にとっても周囲にとっても無理の少ない支援の形を考えていくことが望まれます。

統合失調症のある方への支援では、焦らず、急かさず、安心して過ごせる関係をつくることが大切です。その人の困りごとだけでなく、得意なことや大切にしていることにも目を向けることで、本人らしい生活や社会参加につながっていきます。

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